2025/08/03

Taiwan Today

経済

東南アジア進出台湾企業のプライマリー上場、2020年に急増か

2017/12/18
台湾証券取引所(TWSE)では、東南アジアで起業した台湾企業によるプライマリー上場が2020年以降、急激に増加すると予想している。写真右は日成控股公司の林志謙董事長(会長)、左は林如茵運営長。26年前にタイで起業し、現在タイではパンドラジュエリーやスワロフスキーに次ぐジュエリー大手に成長。このほど日成-KYの名義で台湾上場を果たした。(中央社)
台湾証券取引所(TWSE)では、東南アジアで起業した台湾企業によるプライマリー上場が2020年以降、急激に増加すると予想している。
 
約20~30年前にスーツケース1つ抱えて台湾から東南アジアへ渡り、一発逆転を夢見て起業し、努力を重ねてきた人々が、生まれ故郷の台湾で上場するケースが増えている。台湾証券取引所の統計によると、今年11月までの時点で台湾の集中市場でプライマリー上場している企業は合計64社。そのうち台湾出身者が東南アジアで起こした企業は7社ある。これに、興櫃(エマージング)登録を行っている12社を加えると、台湾の資本市場でプライマリー上場(登録)を行う台湾系東南アジア企業は合計19社に達する。台湾でプライマリー上場(登録)を行う外国企業の中で、東南アジア企業はすでに台湾系中国企業に次ぐ規模となっている。
 
台湾証券取引所では毎年、東南アジアで年間3~4回ほど上場誘致説明会を開催している。ターゲットとしているのは東南アジア諸国で相当の規模を有し、かつクリティカルマス効果が期待できる市場を持つ台湾企業だ。台湾のビジネスマンによる対東南アジア投資は従来型産業が大部分を占めている。例えば製靴、アパレル、金属加工などの産業である。東南アジアの資本市場はまだ成熟していないため、台湾の資本市場はこうした台湾系東南アジア企業にとって非常に魅力的だ。
 
例えば香港やシンガポールの資本市場は成熟度が高いが、売買回転率や株価収益率は台湾に及ばない。ベトナムの資本市場はまだ発展段階にあり、現在の上場企業はハノイとホーチミンを合わせても700社に満たない。タイの資本市場は発達しているものの、国営企業が中心であり、民間企業の場合は流動性不足の危機に直面しやすい。
 
台湾系東南アジア企業は小資本経営が大半で、資本金10億台湾元もあればそれなりの規模と言える。経営は安定しており、大部分は現金不足に陥っていない。しかも、業界で一定の知名度を得ている企業も少なくない。例えば泰昇-KYはASEAN(東南アジア諸国連合)諸国を中心にブランド「Taisun」で知られる紙おむつメーカー。そのシェアは海外大手のジョンソン・エンド・ジョンソンにも迫るほどだ。
 
こうした台湾系東南アジア企業にとって、台湾の資本市場での上場は、株主の権利について整理することができるだけでなく、台湾の優れた人材や専門のマネジメント能力を持った人材を引き付けることができるため、一挙両得である。
 
台湾系東南アジア企業の多くは、資本市場と接触をするまで守りの経営に徹していたが、上場後は目を覚ましたかのように、積極的に市場の開拓に取り組むケースが多い。
 
例えば佐登-KYは当初、企業イメージ向上のためにと考えて上場した。しかし、上場後に目標を高く掲げ、自社製品の販売比重を増やしただけでなく、台湾最大のコスメメーカーを目指すようになった。現在では台湾、中国大陸、マレーシア、カナダ、日本などで合計700店舗を展開している。
 
台湾の上場・店頭登録は、東南アジアや中国大陸に比べると条件の透明化が進んでおり、直近3年間の内部統制監査報告を提出し、6カ月間の主幹事証券会社による指導を経れば上場できるようになっている。
 

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